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当院の整形外科・外科診療

当院では、整形外科・外科診療支援サービス(RASK)の木村先生をお迎えして、高度で専門的な診療を行っています。レントゲン検査をはじめとする各種検査から各種外科手術、術後のリハビリまですべてに対応しています。
木村先生はCCRP(アメリカのリハビリ専門の資格)を保有しており、ご自宅でのリハビリ方法のレクチャーなど、術後のアフターフォローまで丁寧にご説明します。また、犬の前十字靭帯断裂に対するTPLOの手術も行うことができます。

専門医のご紹介

経歴
2007年 大阪府立大学 農学部 獣医学科 卒業
2007〜2008年 獣医教育先端技術研究所(iVEAT) インターン
2008〜2014年 藤井寺動物病院・動物人工関節センター 勤務医
2014〜2020年 藤井寺動物病院・動物人工関節センター 副院長
2019年〜 大阪府立大学 生命環境科学研究科 博士課程 入学
2020年〜 動物病院 京都 本院 勤務医
2023年4月〜 クッキー動物病院 勤務

資格
テネシー大学公式認定CCRP(Certified Canine Rehabilitation Practitioner)
AO VET Small Animal Principles Course
AO VET Small Animal Advances Course
AO VET Small Animal Masters Course
BioMedtrix Micro & Nano Hip Workshop

こんな症状はございませんか?

  • 足を引きずるようになった
  • 歩き方がおかしい / 歩きたがらない
  • じっとして動かなくなることが多い
  • 起き上がったとき辛そうな様子がある
  • 遊びたがらない
  • 段差のある道を登りたがらない
  • 誤ってペットの足を踏んでしまった
  • など
  • 歩き方がおかしい / 歩きたがらない

整形外科・外科の検査

身体検査
心音や心拍数、呼吸音、呼吸数などのチェックや、関節などを触診して状態を把握します。
画像検査

レントゲン検査などの画像検査を行い、骨や関節の状態を把握します。

整形外科的検査

歩行検査などで、歩幅や姿勢の状態から、異常のある部位の検出や負荷の度合いを測定します。

血液検査

必要に応じて、整形外科以外の病気ではないかの確認を行います。

画像検査

レントゲン検査などの画像検査を行い、骨や関節の状態を把握します。


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整形外科・外科でよくみられる疾患

  • 前肢の骨折(橈尺骨骨折・上腕骨骨折)

    1.特徴・症状
    人間でいう「二の腕の骨」が折れてしまうのが上腕骨骨折です。上腕骨が折れると、前足を完全に挙げてしまい、地面につけなくなることが一般的です。ソファや階段から落ちたり、段差を踏み外したり、あるいは何か踏みつけてしまったなど、ちょっとしたことで骨が折れることがあります。

    2.発生しやすい動物種
    トイプードルやポメラニアン、マルチーズ、チワワ、ヨークシャーテリアなどの小型犬に多く発生します。特に超小型犬の場合は、小型犬以上に骨折しやすいため、生活環境には十分に気をつけましょう。
    中型犬・大型犬の場合は、激しい運動などにより骨折します。

    3.検査
    上腕骨は複雑な形をしており、骨の周りに大きな血管や神経もあるため、手術の難易度が高い骨です。骨だけでなく神経が一緒に障害をうけると、麻痺が生じ、骨折が治っても後遺症が残ってしまうことがあります。そのため、当院ではレントゲン検査にて骨折箇所を確認し、治療計画を立てます。

    4.治療方法
    治療法は外固定、外科療法(手術)があり、骨折の種類、患者の状態、ご家族の意向などを総合的に判断して治療法を決定していきます。

    【外固定】
    外固定とはいわゆるギプスによる固定をいいます。人間と違い、動物は安静にするのが難しいため、外固定で治療できない場合がほとんどです。外固定で治療した場合の変形癒合や癒合不全などの合併症の発生率は75%との報告がありますので、以下の場合を除いて、基本的には外科療法を推奨いたします。
    ①患者の状態が悪く、麻酔をかけることができない。
    ②橈骨は骨折しているが、尺骨は骨折しておらず、橈骨の骨折に変位や角形成が認められない。
    ③ご家族の意向で、手術に同意されない。

    【外科療法(手術)】
    骨折の治療に用いられている手術方法は様々あり、骨折の種類によってプレート固定や創外固定などの方法を使い分けています。
    どの手術方法で行っても、10%くらいの確率で様々な合併症が起こると報告されています。合併症には、プレートやスクリュー、ピンなどのインプラントの破損やルースニング(体内に埋没した人工関節が何らかの原因で周囲の骨との固着性が弱くなり、経年的にゆるみをきたすこと)、変形癒合、癒合遅延、癒合不全、細菌感染、成長板の障害、神経麻痺などがあります。また、手術時には剃毛を行うため、術後に毛の色が変わったり、薄くなったり、毛が生えてこなかったりすることがあります。
    プレート固定、創外固定どちらの手術方法であっても、骨が癒合する(骨がくっつく)期間は、通常1-3ヶ月です。骨がある程度癒合したら、スクリューやピンを抜去していきます。

    5.術後管理
    骨が癒合するまでは、基本的にはケージで安静にして下さい。ゆっくり歩くことは大丈夫ですが、走る、ジャンプ、飛び降りる、飛び乗る、階段を上り下りなどは控えて下さい。
    術後はレントゲンを撮影し、経過をみていきます。通常は、術後2週、4週、8週、12週くらいの間隔で検査を行います。
    術後に合併症がおこると、絶えず患肢を挙上(地面に足をつけなくなる)するようになります。起立時に少しだけ挙上することは問題ないことがほとんどです。気になることがありましたら、すぐに当院までご連絡下さい。

    レントゲン写真や検査データ、動画などを学会発表や本の執筆、ホームページなどに使用する場合があります。予めご了承ください。
  • 後肢・骨盤付近の骨折(大腿骨骨折・脛腓骨骨折・骨盤骨折)

    1.特徴・症状
    後肢の骨折の多くは、交通事故や外傷など強い衝撃が加わった時に生じます。単純な骨折もありますが、粉砕骨折や複数の骨折が重なって起きていることも多いです。
    骨盤付近の骨折の場合、動物によって症状は様々ですが、後ろ足に体重をかけづらい様子のほか、そもそも立ち上がらず動かなくなってしまうこともあります。また、膀胱や尿管、尿道、結腸・直腸などが損傷し、排泄がしにくくなり、命の危険にさらされることもあります。

    2.発生しやすい動物種
    犬猫に関わらず、起こり得ます。
    特に猫は、突然の脱走や、マンションの上階からの落下事故などによっても起こります。

    3.検査
    前肢の骨折と基本的には同じですが、骨盤は複数の骨で構成されているため、どの骨が折れているのかをレントゲン検査にて確認し、治療計画を立てます。また、骨盤付近には複数の臓器があるため、超音波検査や血液検査で膀胱や腎臓に異常がないかなど、様々な検査を実施し、命の危険性がないかどうかを判定していきます。

    4.治療方法
    治療法には外固定、外科療法(手術)があり、骨折の種類、患者の状態、ご家族の意向などを総合的に判断して治療法を決定していきます。

    【外固定】
    外固定とはいわゆるギプスによる固定をいいます。人間と違い、動物は安静にするのが難しいため、外固定で治療できない場合がほとんどです。
    また、脛骨骨折は斜骨折や螺旋状骨折が多く、周囲の軟部組織が少ないため、皮膚から骨が突き出してくる開放骨折が、外固定での治療中に起きてくる可能性もあります。
    以下の場合を除いて、基本的には外科療法を推奨いたします。
    ①患者の状態が悪く、麻酔をかけることができない。
    ②脛骨は骨折しているが、腓骨は骨折しておらず、脛骨の骨折に変位や角形成が認められない。
    ③ご家族の意向で、手術に同意されない。

    【外科療法(手術)】
    骨折の治療に用いられている手術方法は様々あり、骨折の種類によってプレート固定や創外固定などの方法を使い分けています。
    どの手術方法で行っても、10%くらいの確率で様々な合併症が起こると報告されています。合併症には、プレートやスクリュー、ピンなどのインプラントの破損やルースニング(体内に埋没した人工関節が何らかの原因で周囲の骨との固着性が弱くなり、経年的にゆるみをきたすこと)、変形癒合、癒合遅延、癒合不全、細菌感染、成長板の障害、神経麻痺などがあります。また、手術時には剃毛を行うため、術後に毛の色が変わったり、薄くなったり、毛が生えてこなかったりすることがあります。
    プレート固定、創外固定どちらの手術方法であっても、骨が癒合する(骨がくっつく)期間は、通常1-3ヶ月です。骨がある程度癒合したら、スクリューやピンを抜去していきます。

    5.術後管理
    骨が癒合するまでは、基本的にはケージで安静にして下さい。ゆっくり歩くことは大丈夫ですが、走る、ジャンプ、飛び降りる、飛び乗る、階段を上り下りなどは控えて下さい。
    術後はレントゲンを撮影し、経過をみていきます。通常は、術後2週、4週、8週、12週くらいの間隔で検査を行います。
    術後に合併症がおこると、絶えず患肢を挙上(地面に足をつけなくなる)するようになります。起立時に少しだけ挙上することは問題ないことがほとんどです。気になることがありましたら、すぐに当院までご連絡下さい。

    レントゲン写真や検査データ、動画などを学会発表や本の執筆、ホームページなどに使用する場合があります。予めご了承ください。
  • 前十字靭帯断裂

    1.特徴・症状
    前十字靭帯断裂とは、太ももの骨(大腿骨)と、すねの骨(脛骨)を繋ぐ十字靭帯のうち、前十字靭帯が断裂してしまう疾病です。好発犬種として、ニューファンドランド、ロットワイラー、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ヨークシャ・テリアなどが報告されています。経験的にはトイプードル、ポメラニアン、チワワ、パピヨンなどの小型犬種、コーギー、ボーダーコリー、バーニーズ・マウンテンドッグなどでもよく遭遇します。年齢、品種、性別などに関係なく発生しますが、特に5歳以上の中齢以降で罹患しやすい病気です。
    代表的な症状としては下記のものが認められます。
    ・動き出しが鈍い
    ・足を引きずる・かばう
    ・足を上げたまま歩く(ケンケンして歩く)
    ・足を痛がる
    なお、一時的にこれらの症状を見せたものの暫くすると通常に戻るというケースも見られます。しかしながら一度痛めた靭帯はその状態を繰り返すことで、靭帯はもちろん軟骨や半月板を痛めることに繋がり、症状の悪化を引き起こします。

    2.発生しやすい動物種
    犬の前十字靭帯断裂は、小型犬から大型犬まですべての体重の犬で認められますが、体重の負担がかかりやすい大型犬から超大型犬に好発する傾向が見られます。
    好発犬種:ラニューファンドランド、ロットワイラー、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ヨークシャ・テリアなど
    猫で起こることはまれです。

    3.検査
    症状、歩様検査、視診、触診、レントゲン検査、関節液細胞診検査などを行い総合的に評価し、診断します。
    触診では、膝関節の伸展時疼痛の有無、脛骨前方引き出し試験、脛骨圧迫試験などから前十字靭帯の痛みと大腿-脛関節の不安定性(ズレ)を確認します。レントゲン検査では、前十字靭帯周囲の脂肪や、骨の角度により、大まかな診断をします。また、必要に応じて関節液の検査や、膝関節の超音波検査をすることもあります。

    4.治療方法
    治療法には内科療法(保存療法)と外科療法があります。

    【内科療法(保存療法)】
    運動制限を1ヶ月ほど行います。その他にNSAIDs(痛み止め)、カルトロフェン・ベット(関節炎の治療薬)、サプリメントなどを使用します。生活環境の改善も重要で、太り気味の症例ではダイエットも行います。
    内科療法は、小型犬の部分断裂の場合は効果があることが多いですが、大型犬や完全断裂の場合は効果が期待できないことが多いです。また、一度切れてしまった靭帯は再生することはありません。例え症状が消失しても膝の不安定性が改善するわけではないため、関節の変形は手術と比較して進行してしまします。

    【外科療法】
    外科療法には、関節外制動術(関節外法)、TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)、TTA(脛骨粗面前進化術)、CBLO(脛骨高平部水平化骨切り術)などがあります。
    現在、主に行われている手術の中で、一番古くから行われているのが外科療法です。人工の靭帯もしくは自家組織を、大腿骨と脛骨に固定することで、脛骨の前方変位と脛骨の内旋を制動することを目的にしている手術です。人工の靭帯や自家組織は、時間の経過とともに緩んだり、切れたり、消失したりしますが、それまでの間に膝周囲の線維化が起こることで膝が安定化していきます。TPLOに比べると術後に膝関節の不安定性が残ってしまうことが多く、特に大型犬では、その不安定性のために術後再び症状(足を引きずるなど)が出てしまったり、変形性関節症が進行してしまったりすることがあります。

    術後、骨の癒合が認められれば、運動制限は解除になります。運動制限解除後は、走ったり、ジャンプしたり、飛び降りたり、どんな運動をしていただいても特に問題はありません。
    10%くらいの確率で様々な合併症(手術における不都合な出来事)が起こると報告されています。合併症には、プレートやスクリューなどのインプラントの破損やルースニング、癒合遅延、癒合不全、細菌感染、脛骨粗面の骨折、腓骨の骨折、半月板の損傷などがあります。また、手術時には剃毛を行うため、術後に毛の色が変わったり、薄くなったり、毛が生えてこなかったりすることがあります。重大な合併症が起こった場合、再手術が必要になります。最悪の場合、関節固定や断脚などが必要になることもあります。

    5.術後管理
    骨が癒合するまでは、基本的にはケージで安静にして下さい。ゆっくり歩くことは大丈夫ですが、走る、ジャンプ、飛び降りる、飛び乗る、階段を上り下りなどは控えて下さい。
    術後はレントゲンを撮影し、経過をみていきます。通常は、術後1週、2週、4週、8週、12週くらいの間隔で検査を行います。
    術後に合併症がおこると、絶えず患肢を挙上(地面に足をつけなくなる)するようになります。起立時に少しだけ挙上することは問題ないことがほとんどです。気になることがありましたら、すぐに当院までご連絡下さい。

    レントゲン写真や検査データ、動画などを学会発表や本の執筆、ホームページなどに使用する場合があります。予めご了承ください。
  • 膝蓋骨脱臼(パテラ)

    1.特徴・症状
    膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿が本来あるべきところからずれてしまうことで、後ろ足に(膝関節に)力がはいらなり歩き方に異常が出る病気です。膝蓋骨脱臼には「内方脱臼」と「外方脱臼」があり、主に「内方脱臼」が多く発症されます。内方脱臼の好発犬種は、ポメラニアン・チワワ・トイプードルなどの小型犬が多いです。反対に外方脱臼の好発犬種は、ゴールデンレトリバーやセントバーナードなどの大型犬によく見られます。
    膝蓋骨脱臼を起こしたからといって必ずしも症状があるとは限りません。特に初期の場合は痛みが発生しないこともあるため、飼い主様は脱臼に気づけないことが多々あります。症状が進行するに伴い、足を浮かせる時間が長くなったり、頻度が高くなったりします。
    主な症状として、以下のものが認められます。
    ・立ち上がる時、歩き出す時に吠えたり鳴いたりする。
    ・歩くことはできるが、後ろ足を気にしている様子がある。
    ・時々歩きづらそうにしている。
    ・後ろ足を上げて、歩けない。
    ・後ろ足を伸ばす仕草が多く見られる。
    ・骨が曲がっていることを目視で判断できる。

    2.発生しやすい動物種
    トイプードル、ティーカッププードル、ポメラニアン、チワワ、ヨークシャーテリア、マルチーズなどの小型犬に多く発生します。
    猫での発症率は少なく稀な症例です。

    3.検査
    膝蓋骨脱臼の主な診断方法は、触診や歩行検査です。
    触診方法は、手で脛骨を内側もしくは外側に回旋させながら、膝蓋骨を内側もしくは外側に押して、変形部分を確認します。病気の進行具合によって、グレードⅠ〜Ⅳに区分されます。骨格変形や関節炎の症状がひどい場合は、レントゲン検査を行い、詳しく診断します。

    4.治療方法
    治療法には保存療法と外科療法があります。

    【保存療法】
    痛み止めの処方薬、運動制限や食事管理によって痛みの緩和を行う治療法です。
    症状を完治させることが目的ではなく、痛みを和らげることを目的としています。環境改善・生活改善・薬の処方の3つに分けて、保存療法による治療を進めていきます。
    (環境改善)
    階段や段差のあるところを避ける。
    自宅に滑りやすいフローリングがあれば、カーペットを敷いて転倒を防ぐ。

    (生活改善)
    肥満の動物は膝に負担が大きくかかるので、食事管理を徹底して減量させる。
    足回りの毛をこまめにカットして転倒を防ぐ。無理しない程度の散歩を日常的に行い、筋肉の低下を防ぐ。

    (薬の処方)
    痛みが強く出ている場合は、鎮痛剤を使用して歩行ができる程度にする。
    関節軟骨を保護するために、注射薬やサプリメントで脚の状態を管理する。

    【外科療法】
    膝蓋骨脱臼を完治させるためには、外科手術による治療が必要です。
    膝蓋骨が滑車溝に収まるように、溝を形成させる手術を行います。大腿部の筋肉と膝関節の動きを真っすぐに再建させることで、脱臼の整復を行います。手術によって、膝関節を正常な動きに戻して、外科的に回復させることが目的です。

    5.リハビリについて
    外科手術によって治療を行った場合、膝蓋骨脱臼を引き起こしている脚と正常な脚の筋肉差が生じてしまいます。
    歩き方や立ち方のバランスがおかしくなっている可能性があり、調整のためのリハビリが必要となります。脚の筋肉量を増やすためのトレーニングや散歩、柔らかい筋肉を形成させるための食事管理やマッサージなど、脚に関してのリハビリテーションが重要です。
    クッキー動物病院では、テネシー大学公式認定CCRP(Certified Canine Rehabilitation Practitioner)の資格を持った木村先生が、リハビリを含めた治療計画を飼い主様に提案させていただいています。手術が成功して治療が終わりではなく、日常生活に戻れて初めて治療が成功すると考えています。
  • 椎間板ヘルニア

    1.特徴・症状
    椎間板ヘルニアは、脊椎の椎骨の間にある椎間板というクッションが飛び出して(膨れて)脊髄という神経を圧迫し、神経に異常を生じる疾患です。痛みやふらつきうまく歩けない足を全く動かせない、おしっこを漏らしてしまう(排尿障害)といった神経麻痺の症状が生じます。

    【状態別の5つのグレード】
    グレード1:腰を丸めて痛そうにしている。動きが悪い。
    グレード2:酔っぱらったようにふらふら歩く。歩く時に爪を擦っている(ナックリング)。
    グレード3:後ろ足を動かす事ができない。腰をあげることができない。
    グレード4:足先の皮膚をつねっても痛みを感じない。
    グレード5:足先の骨をつねっても痛みを感じない。

    2.発生しやすい動物種
    腰の長いミニチュアダックスやコーギー、あるいはビーグルに発生します。

    3.検査
    犬の椎間板ヘルニアの治療のための診断を行うためには特殊な画像検査が必要です。椎間板ヘルニアが疑われる症例の検査は、その目的によってスクリーニング検査、神経学的検査、CT検査、MRI検査の4つに分けられます。

    4.治療方法
    治療法には保存療法と外科療法があります。

    【保存療法】
    激しい運動や負担のかかる衝撃を抑えることで、椎間板物質のさらなる突出を防ぎ、時間経過による脊髄機能の損傷の修復することを目指す療法です。
    最近では動物用のコルセットも開発されており、保存療法の一助となることがあります。コルセットは締め付けるといったイメージを持つ方が多いですが、腰の安定化を図るのにとても役立ちます。安静の難しいような性格の子や仕事や外出などで見ていられない時の補助器具として使用することが可能です。

    【外科療法】
    一般的には中程度〜重度の麻痺がみられる場合には手術を行います。軽度の麻痺の場合にも症状が持続し改善がない場合、脊髄が重度に圧迫されている場合を減圧するために手術の適用となることもあります。

    5.リハビリについて
    歩き方や立ち方のバランスがおかしくなっている可能性があり、調整のためのリハビリが必要となります。脚の筋肉量を増やすためのトレーニングや散歩、柔らかい筋肉を形成させるための食事管理やマッサージなど、脚に関してのリハビリテーションが重要です。
    クッキー動物病院では、テネシー大学公式認定CCRP(Certified Canine Rehabilitation Practitioner)の資格を持った木村先生が、リハビリを含めた治療計画を飼い主様に提案させていただいています。手術が成功して治療が終わりではなく、日常生活に戻れて初めて治療が成功すると考えています。
  • 股関節疾患(レッグペルテス症、股関節脱臼、股関節形成不全症)

    1.特徴・症状
    レッグ・カルベ・ペルテス病は若齢期の小型犬の大腿骨(太ももの骨)の骨頭が壊死(死んでしまう)してしまう疾患です。小型犬(10kg未満)の罹患率が高く、3-13ヶ月齢(特に5-8ヶ月)で好発します。
    股関節脱臼は、交通事故や落下、転倒などにより、骨盤と太ももの骨(大腿骨)を繋ぐ股関節が、背中側やお腹側に外れる状態を指します。元々股関節に異常がある場合(股関節形成不全)やホルモン病などの基礎疾患がある場合、日常生活の中で突然脱臼してしまう事もあります。

    2.発生しやすい動物種
    レッグペルテス症:ヨークシャーテリア、トイプードル、ポメラニアンなど
    股関節脱臼:すべての犬に起こり得ます。
    股関節形成不全症:大型犬が多くみられます。

    3.検査
    身体検査により、股関節の異常を比較的容易に見つける可能性が高いです。レントゲン検査は有用です。

    4.治療方法
    レッグペルテス症の治療法には内科療法、外科療法(大腿骨頭骨頸切除術、人工股関節全置換術)があります。

    【内科療法】
    症状があまりなく、関節の変形がひどくない場合は、内科療法を行うことがあります。内科療法としては、鎮痛剤の投与、運動制限、関節のサプリメントの投与などです。

    【大腿骨頭骨頸切除術(Femoral Head and Neck Ostectomy: FHO)】
    FHOの目的は痛みの除去です。
    FHOは大腿骨頭と骨頸部を切除し、股関節をなくすことで痛みを除去します。股関節がなくなるため、正常な股関節と比較して60-70%の機能になってしまいます。しかし、FHOを行ったとしても、足が痛い、ずっと引きずっている、そのため日常生活に困るということは、ほとんどありません。FHOを行った患者のご家族の96%は歩様に満足しているという報告があります。

    【人工股関節全置換術(Total Hip Replacement: THR)】
    股関節を除去し、金属やポリエチレン製の人工関節に置換することで、疼痛や関節の機能を改善する手術です。正常な股関節と比較して90%以上の機能回復が認められます。
  • 前十字靭帯断裂

    1.特徴・症状
    前十字靭帯断裂とは、太ももの骨(大腿骨)と、すねの骨(脛骨)を繋ぐ十字靭帯のうち、前十字靭帯が断裂してしまう疾病です。好発犬種として、ニューファンドランド、ロットワイラー、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ヨークシャ・テリアなどが報告されています。経験的にはトイプードル、ポメラニアン、チワワ、パピヨンなどの小型犬種、コーギー、ボーダーコリー、バーニーズ・マウンテンドッグなどでもよく遭遇します。年齢、品種、性別などに関係なく発生しますが、特に5歳以上の中齢以降で罹患しやすい病気です。
    代表的な症状としては下記のものが認められます。
    ・動き出しが鈍い
    ・足を引きずる・かばう
    ・足を上げたまま歩く(ケンケンして歩く)
    ・足を痛がる
    なお、一時的にこれらの症状を見せたものの暫くすると通常に戻るというケースも見られます。しかしながら一度痛めた靭帯はその状態を繰り返すことで、靭帯はもちろん軟骨や半月板を痛めることに繋がり、症状の悪化を引き起こします。

    2.発生しやすい動物種
    犬の前十字靭帯断裂は、小型犬から大型犬まですべての体重の犬で認められますが、体重の負担がかかりやすい大型犬から超大型犬に好発する傾向が見られます。
    好発犬種:ラニューファンドランド、ロットワイラー、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ヨークシャ・テリアなど
    猫で起こることはまれです。

    3.検査
    症状、歩様検査、視診、触診、レントゲン検査、関節液細胞診検査などを行い総合的に評価し、診断します。
    触診では、膝関節の伸展時疼痛の有無、脛骨前方引き出し試験、脛骨圧迫試験などから前十字靭帯の痛みと大腿-脛関節の不安定性(ズレ)を確認します。レントゲン検査では、前十字靭帯周囲の脂肪や、骨の角度により、大まかな診断をします。また、必要に応じて関節液の検査や、膝関節の超音波検査をすることもあります。

    4.治療方法
    治療法には内科療法(保存療法)と外科療法があります。

    【内科療法(保存療法)】
    運動制限を1ヶ月ほど行います。その他にNSAIDs(痛み止め)、カルトロフェン・ベット(関節炎の治療薬)、サプリメントなどを使用します。生活環境の改善も重要で、太り気味の症例ではダイエットも行います。
    内科療法は、小型犬の部分断裂の場合は効果があることが多いですが、大型犬や完全断裂の場合は効果が期待できないことが多いです。また、一度切れてしまった靭帯は再生することはありません。例え症状が消失しても膝の不安定性が改善するわけではないため、関節の変形は手術と比較して進行してしまします。

    【外科療法】
    外科療法には、関節外制動術(関節外法)、TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)、TTA(脛骨粗面前進化術)、CBLO(脛骨高平部水平化骨切り術)などがあります。
    現在、主に行われている手術の中で、一番古くから行われているのが外科療法です。人工の靭帯もしくは自家組織を、大腿骨と脛骨に固定することで、脛骨の前方変位と脛骨の内旋を制動することを目的にしている手術です。人工の靭帯や自家組織は、時間の経過とともに緩んだり、切れたり、消失したりしますが、それまでの間に膝周囲の線維化が起こることで膝が安定化していきます。TPLOに比べると術後に膝関節の不安定性が残ってしまうことが多く、特に大型犬では、その不安定性のために術後再び症状(足を引きずるなど)が出てしまったり、変形性関節症が進行してしまったりすることがあります。

    術後、骨の癒合が認められれば、運動制限は解除になります。運動制限解除後は、走ったり、ジャンプしたり、飛び降りたり、どんな運動をしていただいても特に問題はありません。
    10%くらいの確率で様々な合併症(手術における不都合な出来事)が起こると報告されています。合併症には、プレートやスクリューなどのインプラントの破損やルースニング、癒合遅延、癒合不全、細菌感染、脛骨粗面の骨折、腓骨の骨折、半月板の損傷などがあります。また、手術時には剃毛を行うため、術後に毛の色が変わったり、薄くなったり、毛が生えてこなかったりすることがあります。重大な合併症が起こった場合、再手術が必要になります。最悪の場合、関節固定や断脚などが必要になることもあります。

    5.術後管理
    骨が癒合するまでは、基本的にはケージで安静にして下さい。ゆっくり歩くことは大丈夫ですが、走る、ジャンプ、飛び降りる、飛び乗る、階段を上り下りなどは控えて下さい。
    術後はレントゲンを撮影し、経過をみていきます。通常は、術後1週、2週、4週、8週、12週くらいの間隔で検査を行います。
    術後に合併症がおこると、絶えず患肢を挙上(地面に足をつけなくなる)するようになります。起立時に少しだけ挙上することは問題ないことがほとんどです。気になることがありましたら、すぐに当院までご連絡下さい。

    レントゲン写真や検査データ、動画などを学会発表や本の執筆、ホームページなどに使用する場合があります。予めご了承ください。

少しでもおかしいと思ったら...

わんちゃんやねこちゃんは、日常生活の中でちょっとした拍子に、突然びっこを引き始めたり、足を痛がったりします。屋外、室内問わず捻挫や打撲の恐れがありますので、少しでも足がおかしいと思ったら、お早めに来院することをおすすめしています。

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